郡山市/N様邸

サイド・カー付きバイク用インナー・ガレージ

電気工事関係の会社を経営されているN様と奥様、この春小学校2年生になったお嬢ちゃんの3人暮らし。
家を建てたのが、会社の社屋や駐車場がある敷地の一角だったので、工事の進捗状況は、四六時中目に入ります。
それだけでなく、お仕事柄、家を見る機会も多いN様ですが、ご自身の家に関しては、まったく無頓着。家づくりも、ほとんど奥様任せで、「サイド・カー付きのバイクが格納できるインナー・ガレージ」が唯一のリクエストでした。

[ディアロ]との出会いも奥様です。一昨年の秋、奥様のご友人が建てられた家が、タカさんこと、『TAKA建築設計室』の遠藤隆吉さんの設計であることを知り、そのご友人の紹介で、『TAKA建築設計室』をお訪ねになりました。

素材そのものの自然な感じと力強さに。

「大手住宅メーカーで建てるくらいなら、それまでのアパートに住み続けていたほうがまし」と、家についてはこだわりのある奥様が、ご友人の家の、どこを気に入られたのでしょう?
「うまく言えませんが、直感というか、インスピレーションというか…」
家づくりにも、ひと目惚れがあるようです。
「お客様が望んでおられることをプランに反映させるのが最優先ですが、私としては、素材そのものの自然な感じと力強さを大切にしたいと思っています。とにかく、四角い空間の集合体のような家にはしたくない、というのが基本にあります。そこを気に入ってくださったのだとしたら、うれしいのですが…」と遠藤さん。

半年間、週1回のペースで打ち合わせ。

奥様が『TAKA建築設計室』を訪ねられてから着工まで約半年。遠藤さんとは、「週1回のペースでお会いしていました」とのこと。
ご主人が無頓着な分、というわけでもないでしょうが、奥様は熱心でした。もともと、遠藤さんが設計した家を「ひと目見て気に入った」くらいですから、大枠では、「玄関を広く、収納を多く」という以外、これといった注文はありませんでした。それでも、「ずいぶんわがままを聞いていただきました。我ながらしつこいと思うくらい、細かく打ち合わせをしました」と奥様。

しかし、それは建築家にとっても「ありがたいこと」だったそうです。「建築家としては、とにかく、気に入っていただける家を建てたい、というのが基本ですから。ご提案も、その理由をキチンと説明して、どんな些細なことでも、納得していただいたうえで次のステップに進みたい。雑にお話を進めて後戻りするようなことだけは避けたい。材料探しも、できるだけご一緒していただくようにしています」

奥様、模型づくりに挑戦、みごとに仕上げる。

「土地探しに苦労する必要はなかったわけですが、350坪ある敷地のどこに建ててもよいというのが、かえって難しかったですね。敷地の中の敷地探しというか、初めての経験です」。
建築家として初めての経験といえば、建築家が作った模型を見た奥様が、「私も作りたい」とおっしゃったこと。100の1スケールですから、ミリ単位の作業ですが、そうと知らされずに見れば、素人が作ったとは思えない見事なできばえです。
模型を作るためには、”図面を読む”ことができなければなりません。
「お作りになったのを見ながら、教えていただきながらですから。そうでなければ、とてもじゃないけど、無理です」。
それでも、見よう見まねで模型を作りながら、遠藤さんの証言によると「かなり図面が読めるようになられた」そうです。
「遠藤さんにはご迷惑だったかもしれませんが、家づくりそのものが楽しかったですね」。

家には無頓着だったはずの主人も。

打ち合わせを重ね、工事が始まってからも、「遠藤さんや、[信和建設]さんにわがままを言って、変更していただいたところもあります」。
それだけに、入居して半年が過ぎた今も、「不具合も不満も、まったくありません]とニッコリ。
「夫と娘を送り出したあと、リビングのテーブルでコーヒーを飲みながら、周りを見回す時間が好きです」。
収納が多いこともあって、すっきりと片付いています。リビングから見えるキッチンの壁にも、食器棚がありません。壁面全体が収納スペースになっているのです。しかし、無垢材がふんだんに使われているので、無機質な印象はありません。インタビューの最初、「どんな家をお建てになりたかったのですか?」という質問に、「こういう家」とお答えになったのを思い出しました。
家には無頓着だったはずのご主人も、手すりや、リビングにしつらえたカウンター・デッキ、テラスなどを、ご長女と一緒に磨かれただけでなく、インナー・ガレージの壁もご自分で塗られたそうです。

「居間」を「居の間」と呼ぶ建築家のこだわり。

N様邸のリビング・ダイニングには、お決まりのリビング・セットとダイニング・テーブルがありません。奥様も、「この家に、ソファ・タイプのリビング・セットは似合わないでしょ」とおっしゃいます。
あるのは、建築家が「おにぎりテーブル」と名付けた角の円い三角形のテーブルなのですが、座ると、なぜかくつろげるのです。
その理由は、テーブルの形状のほかにもありました。テーブルと椅子が、一般的な高さより4㎝ほど低いのです。
建築家は、このおにぎりテーブルのあるスペースを「居の間」と名付けました。ちなみに、その一角にある畳スペースは「座の間」──あとで確かめると、設計図にもそう記されていました。
N様邸は、設計図に記すだけの呼称にまでこだわる建築家と、模型まで作ってしまった奥様、そして、無垢材の仕上げを手伝ったご主人とお嬢ちゃんの合作といえそうです。